ローラー&クライナー インクは顔料なのか?

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顔料インク疑惑

ローラー&クライナーは顔料インクだけど没食子以外は耐水性はなく、セピア以外は混色できる。顔料なのは発色のため、って蔦屋で聞きましたの

twitterのリツイートで見かけたとある情報。そう云えば本当のところは結局どうなのよという決着が自分の中で着いていなかったこともあり、今回はこの件を取り上げてみる。

確かに蔦屋代官山店のT-SITEでは「水性顔料インク」と明記されている。他、田中文栄堂のサイトでは

着色料や水に、少量のアラビアゴムなどの添加物を加え、インクの毛細現象を最適な状態に調整し、スムーズな筆記を実現した顔料系のインク

さらにPen and message.の吉宗店主のブログ「店主のペン語り」

ローラーアンドクライナーのインクは、顔料インクだというところも特徴的なところで、それが発色の良さにつながっているようですが、使用した感じでは詰まりやすくもなく、比較的サラサラした性質のように思えました。

信頼のおける販売店がそう仰るなら疑う余地など無いのだが、ローラー&クライナーのボトルインク18色中、没食子インクであるSalixScabiosa以外で、Leipziger SchwarzBlau PermanentAlt GoldgrunSepiaVerdigrisを使用した経験上、耐水性は全く皆無だったはず。すなわち「染料インク」であると信じ切っていたのである。

染料インクと顔料インク

さてここで基本的な確認を。

染料インクと顔料インクの違い、それはメディアに定着する色料(発色の基となる要素)の粒の大きさにあります。粒が分子レベルで水に溶け込む水性染料インクに対し、水性顔料インクは色料が粒子状に水中に存在し、定着後の耐久性、耐光性にすぐれています。

顔料は粒子が大きく(数ミクロン以下)コーヒーのように水に溶けきれず、小さな粒子として溶剤の中に分散した形で存在します。染料は、砂糖のように水に溶けた状態で存在します。これが顔料と染料の違いを生み出す最大のポイントとなっています。

顔料は水や油に溶けきらず「絵の具を画用紙の上に塗りつける」といった用紙の表面にとどまらせる方法で着色します。顔料の場合、マットであまり透明性がありませんが耐水性があり、滲みません。紫外線などへの耐候性があります。

上記引用はプリンタのインクについての解説であるが、万年筆のインクに於いても同様であろう。つまり、“顔料インク=耐水性あり”という定義なわけだ。

耐水性テスト

Is Rohrer & klingner pigmented ink?
もう一度認識を新たにする為に、耐水性テストを実施してみる。近くにあったBlau Permanent2012 LE BlueBlackSepiaを、ペリカーノ・ジュニアにつけペンでGRAPHILOに書く。約30分程経過してから、洗面所で水道水を紙面にかけてみた。

Does pigmented ink flow to water?
結果はご覧のとおり。綺麗に水に流れてしまっている。

この結果をtwitterに載せてみたところ、小日向京さんから早速ご意見を頂いた。なるほど、それでは世間一般に顔料インクと認知されている2つのインクで同様のテストを行ってみよう。

顔料インクの耐水性テスト

water-resistance for pigmented ink
セーラー ストーリアのNightと、モンブランのPermanent BlueGRAPHILOにつけペンで書き、約23分で水道水をかける。案の定、水には流れずしっかりと紙に定着しているのが分かる。本来、顔料インクならばこうなるべきであると思うのだが…?

twitterでのやりとり

様々な方から貴重なご意見を頂いた。やはり真相は製造元に確認するしかないのだろうか…。

結論:顔料インクではない!

その後暫くして、pgaryさんから決定的な情報を教えて頂く。

リンク先のげんきざっくざくさんのブログで、実際に製造元に問い合わせされたそうである。回答を要訳してみると、

私達の万年筆インクは防水性がなく、染料を含んでいる。他の万年筆に向いていないインクでは、顔料を含んでいる。これらのインクは、耐水性がある。

なるほど、やはり染料インクで正解だということである。げんきざっくざくさんのブログ記事は今年の4月に公開されているが、依然として先述の販売店での表記は顔料インクです、のままである…是非訂正して頂きたいものだ。因みに、ローラー&クライナーからは「Document Ink」というシリーズで6色が万年筆でも使えるインクとして出ている。こちらはISO 12757-2認定の耐水性・耐光性があるインクのようである。

色々と貴重なご意見、ご指摘を頂いた皆様には感謝と御礼申し上げます!

Anri Sugihara 128

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