Fountain pen charm

この記事は、今年7月から始まった会社の社員ブログに寄稿した内容です。

いきなりですが、「万年筆」を使われたことってありますか?

周りを見渡しても、シャープペンシル,ボールペンでメモまたはノートに書いている方が大多数かと思います。
“筆記する”という目的で云えば、凡そシャープペンシルやボールペンで充分に事足りる中、万年筆の存在意義って何でしょう?…といきなり禅問答めいた話になってしまいますが、そもそも皆さんは「万年筆」にどんなイメージをお持ちでしょうか?

  • 文豪,文筆家が原稿用紙に小説を書く
  • 年賀状やお礼状を書く時に使う
  • 達筆な人が行書でスラスラ~っと書く
  • 持っていると大人って感じがする(?)
  • 値段が高そう(!)

…いかがですか?…“なんとなく敷居が高い” “あまり実用的でない”…そんな感じでしょうか。

万年筆ってカッコいいな・ちょっと使ってみたいな…と思ったのは、今から約10年程前、とある転職サイトのエージェントの方と面談したのがきっかけです。
眼鏡が似合う素敵な女性の方で、面談をしながら赤い軸の万年筆でさらさらさらーっとノートを取られてるのが実に印象的でして…
もしその時の担当の方が僕のようなこ汚いオッサンだったら、そこまで興味を示したかどうかは甚だ疑問ですが(笑)、もー、めっちゃカッコええやんほれてまうやろーと思ってしまったのです。
本を正せばそんな不純な動機だったわけですが、見よう見まねで万年筆を使い始めて以来、今も飽きずに使い続けています。

上の写真は、値段が10,000円以上の万年筆…です。万年筆って集めだすとキリがないんですよね。最も多い時期でこの3倍強の本数があった時も。ヴィンテージ品(特にMontblanc)にハマった頃もありました。以前、諸事情でばっさり断捨離したので、現在はこの本数で(取り敢えず?)収まってます。(それでも嫁からは『右手は1本しかあれへんのに、なんでそんな沢山買わなあかんの! あほちゃう?!』と文句言われてますが・汗)

ところで、万年筆ってボールペンのように、買って直ぐに使える(書ける)わけではないのです。インクが必要です。万年筆のペン先を紙に置いた際、流れ出るインクで字が書けるという仕組みです。有名な「毛細管現象」をはじめとしたメカニズムの説明は、以下の2つのサイトが分かりやすいと思いますので、ご興味がある方は一度ご覧になられてはいかがでしょうか。

万年筆の仕組み ~インクをスムーズに送り出す内部の秘密~ | 趣味文CLUB
万年筆は約200年前にこの世に登場した。その後、試行錯誤が繰り返され、約130年前に毛細管現象を活用した基本構造が確立され、進化しながら現在に至っている。万年筆のペン先の構造 「インク
万年筆とわ(万年筆の特徴・書けるしくみ)

こちらはアンダー10,000円代表として、ドイツのLAMY(ラミー)の万年筆です。プラスチック製のSafari(サファリ)、アルミ製のAl-Star(アルスター)。(写真だとどれがどれだか分かりづらいですね、すみません)
初めて購入した万年筆、実はこのSafari2008年限定色(ライムグリーン)でした。SafariAl-Starも毎年46月頃に、その年の限定色が出ます。大体ほぼどちらかは毎年買ってますね。このLAMYの話は、また別の機会に。

万年筆の正しい持ち方・書き方について、万年筆の真ん中辺りを力を抜いて持って(握って)、筆圧を掛けずに軸の自重で書く…という解説をよく見かけますが、必ずしもその通りにする必要はありません。ただボールペンやシャープペンシルと違って、ペン先の向きについては留意する必要があります。
万年筆用語(?)で、“右捻り(右利きの人が右手にペンを持った時、手前(自分の方)に捻って持つ)・左捻り(右捻りの逆)”という言葉があるのですが、自分では気付かぬうちに、癖でペン先の正面を左右どちらかに捻って書いてしまう人(僕の場合はやや右捻りかな…)って実は大勢います。あまりにも捻り具合が酷いと、ペン先からインクがうまく出ない為、結果として字が書けなくなります。この感覚って万年筆ならではですので、初めの内は多少苦戦するかも知れません。でも大丈夫です、直ぐに慣れます。あまり神経質にならなくても、少しの捻り程度なら次第にペン先自体が、自分の書き癖に合ってくるようになります。

僕の場合、家で仕事のことをあれこれ考えたりする時に万年筆は欠かせません。上の写真(営業の方からご提案頂いた、ポータルサイト有効活用作戦の一環で、アンケート回答機能の仕様を考えてる時に書いたもの)では原稿用紙(万年筆にこだわり出すと、インクや紙にも余波が及ぶのです!)を使ってますが、マス目に一字一句収めて書かなければいけないなんて、誰が決めたんでしょう? so what?!

よくもまぁ臆面もなく汚文字を堂々と晒して…という誹謗中傷はスルーします(笑)。

万年筆を使う上でのデメリットですが、

  1. 万年筆のインクって保存に向いていない
  2. 紙質によって(例えば会社の安いコピー用紙とか)インクが滲んでしまう
  3. ネジ式(のキャップ)の場合、いちいちキャップを開けるのが面倒
  4. キャップを閉めないで放置しておくとペン先が乾いてしまって書けなくなる
  5. メンテナンスが面倒

1.については(5.とも関係しますが)、万年筆のインクは基本的に染料(水性)インクが圧倒的に多いので、長期保存に向いていません。耐水性・耐光性に乏しい染料インクとは別に、以前は鉄を含む万年筆用インクである古典ブルーブラックインク(タンニン酸、或いは没食子酸、及び鉄イオンを含む万年筆用インク→その鉄分が紙に浸透し酸化され、色変化を起こし紙に定着するインク)が重宝された時期もありました(私は未だにこの古典インクが大好きです)が、染料インクと比べて万年筆のケアが必要になる為、昨今の何でもお手軽を望むユーザーから敬遠されてしまう・苦情が増えた等の理由から製造中止となったケースも多いです。代わりに今は顔料インクに注力するメーカーが多くなってきましたね。ただこれも、暫く万年筆を使わずに放置してしまうと、内部で乾燥してしまって洗浄が大変というリスクもあるのですが。

2.は、紙の繊維に広がりやすい低粘度の染料インクだと、見るも無残に滲みまくってしまいます。比較的、古典インクや顔料は滲み度が低いと言われてます。(なので、万年筆ユーザーは紙質にもこだわっていくハメになるんです!)

3.はネジ式の方が密閉度が高いので、インクの乾燥が低減されると言われてますが、確かにいちいちキャップを回して開け閉めするのは面倒です。打合せなんかでは使ってられません(笑)! ですので嵌合式という、パチっとキャップを嵌め込むタイプもあります。上で紹介したLAMYSafariAl-Starなどはそのタイプです。使いやすい反面、インクが乾燥しやすいというトレードオフ問題がありますが…。

4.ですが、これは万年筆の構造上仕方がありません。こまめにキャップを閉めましょう(笑)。

5.…これは車でも楽器でもそうですが、万年筆が好きか嫌いかは、このメンテナンスを楽しいと思えるか思えないか…だと思います。
インクを別のインクに変えたい時は勿論のこと、定期的に洗浄した方がより長く愛用出来ますし、使用しているインクの種類によって水洗い以外にもアスコルビン酸や専用クリーナーでの洗浄など、結構手間が掛かるんです。

では、メリットって何でしょう?
うーん、実はこれって人に説明する(理解してもらう)のが一番難しいと僕は思ってます。
例えばネットで“万年筆 メリット”でググってみてください。それらしいのが沢山ヒットすると思います。どれも当たっているようで、ちょっと違うかなぁと…。

僕が思うメリットとは、

  • 同じ極細(Extra Fine),細字(Fine),中字(Medium),太字(Broad)でも、メーカーやペン先の金属の種類・加工方法で様々な筆致・書き味が愉しめる
  • 万年筆で字を書く際、文字のバランス(漢字・ひらがな・カタカナ)や線の強弱を意識するようになった
  • 使いこんでペン先が自分仕様になってきた万年筆で字を書いていると、余計な力が抜けて筆圧が下がるせいか、延々と時が経つのを忘れてひたすら書ける→大した内容でなくても、後から見てヒントになるキーワードが拾える場合がたまにあったりする→嬉しい
  • ペン先が馴染んでいく過程が面白い(?)→必然的に愛着も増す

あれれ、こんな程度? 全然メリットじゃなくて単なる所感・自己満足やん!って(笑)。

まぁ確かに所有欲を満たすという部分も大いにあったりしますが、使い込む程に自分の書き癖に合ったペン先(書き味)となり、手に馴染んでくる/唯一無二の筆記具になる(育てる)という面白さを持った、極めて趣味性の高い筆記具が万年筆と言えるような気がします。
筆記具→書ければ何でもいいという考え方とは、一生平行線な存在ではないかと…。

そう、所詮、万年筆も“書く”為のツールではあるのですが、日々当たり前の如く行っている“書く”というアナログな行為に、都度新鮮な気持ちで向き合うことが出来るツールです。

…なんて、最後カッコつけすぎ?(笑)

まだまだ話は尽きないのですが、今回はこの辺で……以上、サイト主でした。


…とまぁ、こんな内容の記事を投稿しました(恥)。おかげで社長が万年筆に興味を持ってくれましたがね(笑)。

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